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2019-09

私を支える言葉@王妃の館

杉下右京が別の右京を演じたでおなじみの王妃の館(違
みりおんのサヨナラ公演。

さて、全体としては「高級ホテルを巻き込んだ計画的ダブルブッキングツアーを巡るドタバタとその参加者の群像劇」と「太陽王ルイ14世の恋」の2本の糸を主役の北白川右京が撚り合わせている感じ。

1本目の糸、ダブルブッキングツアーの群像劇。
それぞれのチームの最年長カップルの人生の深さ。
群像劇をやると、組長や専科の力は絶大だなと改めて思い知る。
明るいコメディで、最後には登場人物は全員幸せになる。
ご都合主義と言えばそれまでだけれど、この「水戸黄門的幸せな世界」って宝塚の見せたい夢とは相性がいいと思うのよ。
リアリティより夢を、美しさを、幸せを。
夜遊びツアー(ホテルは昼しか使えない)の観光でカンカン観に行くシーンがあるので、芝居中でカンカンまで見られてお得だし。

2本目の糸、太陽王のひそかな恋。
相手の名前がディアナ(英語ではダイアナ、つまり月の女神)ってのは出来過ぎだけれども、話としては非常に魅力的。
ディアナと再会できるまでこの世をさまよう太陽王とその従者。
右京は再会の筋書きを練るけれども、それは失敗に終わる。
太陽王と右京の間に芽生えかけていた何かも、そこで壊れたかのように見えた。

けれど最後に2本の糸が交わる。
右京との奇妙な繋がりで生まれた太陽王の「笑顔」がカギとなり、ついにディアナとその息子のプティ・ルイ、それに太陽王が出会う。
下手に向かって去っていく右京と玲子を見守る一家と従者。
ここで、リアルとフィクションが交差する。
太陽王演じるまかぜ君や他の3人が持つ、みりおんへの「幸せになれよ」「ありがとう」が役の気持ちにぴったり重なる。
その瞬間がとても温かい。
感動して泣くのではなく、幸せになれる。
いいなあ、サヨナラ公演なのに泣かずに幸せに幕が下りるなんて。

個別萌え語り。
つまりはまかぜ君語り。
何あのコスチュームの似合いっぷりは!
さすがだわ、王子様力高いわ。
大真面目だからこそ面白くなる役もよく似合う。
太陽王の苦悩を回想ではちゃんと演じる。
一方で突然現れた規格外の東洋人右京には成す術もなく振り回される。
右京の計画に従ったのにディアナと再会できなくて怒って、そこでいったん右京との絆はなくなったように見えるけれど。
でも違った。
太陽王の中には確実に変化は起きていて、それが最後の再会に繋がっていく。

太陽王は、強引で独りよがりでナルシストな右京のおかげで笑いを取り戻した。

最初は右京は本当にダメな人間だったけれど、それでも小説に対してだけはまっすぐで。
馴れ馴れしくて騒がしくて、それは今まで太陽王の周りにはいなかった人種だろう。
右京に言われてホテルを離れて、ベルサイユで観光ガイドをやってみた。
そうしたら意外にもツアー客に大ウケ。
ああいう素直な驚き、喜びは生前の太陽王の周りでは見られなかったものだろう。
少しずつ、少しずつ、心の氷が解けていく。
温かい世界、優しい世界。
まかぜ君演じる太陽王の表情が徐々に柔らかくなっていく。
最後には見事なツンデレを披露してくれるぐらいに。

予期せぬ闖入者から思いがけない気づきを得て、人生が大きく変わっていく。
これは決してリアリティのない話じゃない。
太陽王以外にも起きうる物語。
現実味のない話でありながら、その中に流れる「気持ち」は21世紀の日本の庶民と変わらない。

右京@まぁ君もまた、締め切りに追われる中、野心のため褒められるため小説を書くようになりかけていた。
その時、ツアーの参加者を見て、太陽王と語り合って、玲子に恋をして、変わる。
1つの言葉が人の人生を支え続けることがある事を知る。
1つの恋が人生の全てになり得ることを知る。
そして、「自分の物語」を書こうと右京は決心する。

玲子@みりおんも会社が全てだったところから、変化していく。
選んだわけではない相手とのかかわりが人生を大きく変えていく。
それが面白い。

人は誰もが悩みも傷も抱えて生きていて、同時支えてくれる何かを持っている。
自分の紡いだ言葉が誰かの支えになる事は、小説家にとってきっと最大の悦びだろう。
旅先での美しい思い出が誰かの支えになるのなら、それがツアーガイド冥利だろう。

そうだ、私の人生を変えた言葉もみりおんは演じている。
カナリア(初演再演ともに花組、初演はチャーリーさん、再演はえりたん)のヒロイン、アジャーニ。
「不幸って前の方がよかったって思う事」
この言葉はもう、初めて聞いた時から私を支え続けている。
きっと10年先も。
それが言葉の力だから。







ショーは完全に「やらせたいこと全部詰め込んだよ!」なので、コンセプトも何もあったもんじゃない。
だけどそれでいい。
ソーラン、マタドール、蝶の幻想的なデュエット、魔女、黒燕尾、ヒラヒラしたスカート燕尾的な衣装でのファンタジーなシーン、アイドルっぽい場面、ラインダンスもあった。
見たいものが次々見られる。
みりおんが、まぁ君が、まかぜ君が次々カッコよく可愛く現れる。
ショーはそれでいい。
どのシーンも良かったから、それだけでいい。
ナントカの大地のシーンの意味はわからなかったけど、迫力あるバトル系群舞がカッコよかったからそれでいい。

フィナーレ。
ピンクの羽がよく似合うわ、みりおん。
まぁ君のナイアガラがよく揺らめいて、元気な歩き方が好きよ。
まかぜ君の涼しい顔した王子様ぶりもね。

あ~久しぶりの宝塚はやっぱり夢の世界だったわ。
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お笑いメインに、芝居、宝塚と西へ東へ。

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