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2019-07

彼の隣に@グランドホテル

久々の宝塚感激。
今回は月組。

グランドホテルは映像にも残らない作品で、私にしては珍しくほぼ予備知識なしでの観劇。
ただ時代背景はよくわかるゾーンなので、そこが救い。
「凱旋門」「ヴィンターガルテン」などなど、第一次世界大戦の賠償金地獄~ナチスの黎明期~第二次世界大戦を描いた作品は結構あるのよ。

この時代の歴史的なちゃんとした説明は私にはできないけれど。
ざっと把握しておくべきなのは
・ユダヤ人への差別はあるものの、まだまだ大事なポジションにユダヤ人がいた過渡期
・パリは希望の街(亡命先の最有力候補)
・メインキャラを脅しに来る地味なカーキの軍服の男はだいたいナチス(ゲシュタポ=ナチス版特高)
この3点。
今回もこれだけ把握しておけばストーリーはわかるから大丈夫。
一応追加しておくと、ナチス(特にゲシュタポ)はやたら市民に恐れられるものとして描かれてるけど、史実では彼らは選挙でかなりの高率の支持を得て第一政党に躍り出ている。
劇の主人公になるような、芸術家、歌手、亡命者、ユダヤ人やロマ(ジプシー)などの特手の外国人には恐ろしいものだった、ということを覚えておこう。

別にゆとり批判する気もないけども、「ヒトラーみたいな悪い人が選挙で当選するわけないじゃん」って言うティーンをリアルで見た事あるのでね…


さて、これを踏まえて作品レビュー。
今回は本題までが長いな…

主人公はアンダーグラウンドな仕事に手を染めた貴族の青年。
ヒロインはやめるといってはツアーに出てカムバックを繰り返す、人気も落ち目のバレエのプリマドンナ。
頭の軽そうな秘書志望のブロンド美女(欧米ではブロンド=おバカのイメージ)。
病に侵され死ぬ前に憧れのグランドホテルにやってきたユダヤ人会計士。
秘書の面接にやってきたのは太った社長、事業の雲行きは怪しい。
医者らしき謎の男は舞台の端の椅子から動かない。
主人公の周りをうろつき、借金を返せと迫るナチスの男。
プリマドンナの忠実すぎる付き人は、ストーカーの領域にはみ出しそうなギリギリのラインで綱渡りをしている。
興行師はプリマドンナの気まぐれと集客力にイラつき、ひどい訛りでわめきたてる。
この群像劇の合間合間に労働者たちが重そうなカゴを持ち、通り過ぎながら歌う。

主人公はプリマドンナに恋をする。
プリマドンナは主人公の熱に触れ、踊りへの情熱を思い出す。
秘書は社長に騙され、社長は悪事を暴かれ全てを失う。
会計士は最後に求めていた人生を手に入れる。
そしてそれをずっと舞台の端で見守る謎の男。


私はとにかく今回はみやるり(ユダヤ人会計士)の芝居の良さを訴えたい。
病に侵され、死ぬ間際に「人生を探しに」グランドホテルにやってきて、主人公の若い貴族のキラキラした世界に触れる。
主人公の勧めで株を買い、タキシードを作り、ダンスに初挑戦し…
最後には秘書に「一緒にパリに行ってくれ」と懇願する。
実は秘書のお腹には赤ちゃんがいた。
それを理由に秘書が断ろうとすると、会計士はこう言う。
「私はまだ生まれたばかりの赤ん坊を見たことがない」
彼の寂しい人生と、彼の温かい人柄と、その人柄を外に見せるための機転の良さを全て集約した一言。
それを優しく柔らかく、死に行く者の深刻さを全く感じさせない表情で言うのよ。
何の迷いもなく、一瞬の間もなく。
きっと彼はパリに行って、生まれたばかりの赤ん坊を抱いて、眠るように死ぬのだろう。
グランドホテルに滞在できる程度の彼のささやかな資産を秘書と赤ん坊に遺して。
会計士が探していた「人生」は華やかな社交界でも、美女との恋愛でもなくて。
隣にいてくれる人。
ただただ、自分に笑顔を向けてくれる人。
もしユダヤ人でなかったら、彼がそういう人を見つけるのはもっと容易だったはずなのに。
ホテルに辿り着いて宿泊拒否されかけた時の悲痛な「私がユダヤ人だからですか」の台詞。
たくさん辛い目にあってきたんだろう。
それなのに、秘書への目がとことん優しい。
男と女として彼女を求めてるわけじゃない。
なかなかできるものじゃない、無償の愛。
愛を与えることで幸せになれる、本当に本当に優しい人。



メインストーリーのはずのプリマドンナと貴族はどうしたって?
うん、ちゃぴ素敵。
いやね、どうにもこうにもこっちは共感しづらいストーリーで…
会計士の物語の方がすっと入ってき過ぎてこうなった。


で、この芝居の特徴。
ストーリー上一番大事なシーンが舞台の上手と下手で同時進行。
(社長の悪事が暴かれるシーンと会計士の独白)
電話交換手を上手い事舞台の上で使ってるのはいいんだけど、電話のシーンも何役も同時進行だからストーリーが錯綜する。
ストーリーを楽しむためには初回はオペラグラスの使用は諦めるが吉。





ショーはカルーセル輪舞曲。
つまりメリーゴーランド。
…TCAは一体何頭の馬をもてば気が済むのか。
ペガちゃん@ベルばらに始まり、首だけの大馬(馬頭観音の化身)@オグリ!もいるし、コムちゃんがショーで使った木馬もいるでしょうよ。
それはそうと、ショーになると私はもう、としくんしか見えない。
ああもう、あのダンスといいファニーフェイスの笑顔と言い…最高。

あと今回は退団者をフィーチャーするシーンが最高過ぎた。
何あの胸キュンシーン。
退団者が男役娘役1名ずつなのだけど、2人の背中を押す男女。
押されて前に飛び出して、照れながら始まるデュエットダンス。
ああもう可愛すぎる。
萌えすぎる。
退団者をフィーチャーするシーンはたいてい泣けてくるもんなのだけど、今回はキュンキュンし過ぎて涙が負けた。
これはこれで良し。


あ、公演デザートの話も一応書いておく。
カップの形が変わったよ!
オヘソのないタイプのカップになって食べやすかったわ(笑)
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