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2019-07

アルジェの男

ハッキリ言って、近来まれにみるひどい作品だと思う。
少なくとも私の感性には全く合わないし、月組の無駄遣いにしか見えないレベル。

ジェンヌに罪はない。
けれど、ストーリーは私にはダメだし、きりやんの個性とジュリアンは合わない。
最近やりすぎのまさきはさらに暴走し、みくちゃんが素晴らしいおかげで逆にジュリアンの行動の意味不明度が上がる。
まりもちゃんとみりお君はひたすら可哀想で、もりえちゃんはキャラが立たない役。
一番おいしいのは案外マギーなんじゃないの?wってな状態。

そもそも下地になっている「赤と黒」の時点でとうこちゃんじゃなきゃ見に行かなかっただろう作品で、悲しみのコルドバが苦手な、私の感性にこの作品が合うわけないのは見に行く前からわかっていたから、文句言っても仕方ないのだが。

きりやんは誠実な人なんだろう。
ハッタリだけで演じるのではなく、役作りをするタイプ。
役として「不実な人」を演じることはできるし、「女を利用する男」を演じることはできる。
ただ、それはあくまで「役」が完成している場合の話。
この作品におけるジュリアンの行動は支離滅裂なところがあり、その歪みはきりやんが演じることでむしろ拡大してしまった。
きりやんが丁寧に魅力的にジュリアンという人間を作れば作るほど、ジュリアンの行動は筋が通らなくなっていく。
たぶん大野先生の演出もきりやんに合わせた結果、ひずみを拡大させてるんだと思うが。

その歪みの最たる部分が「アナベル」。
彼女はエリザベートを振り向かせるための当て馬だと考えるのがストーリー上妥当だ。
ジュリアンはエリザベートが振り向いた瞬間に迷わずアナベルを捨てているのだから。
ただし、アナベルは当て馬であると同時に保険だ。
エリザベートが万が一なびなかなった場合はアナベルと結婚し、アナベルの伯母であるマダムの後ろ盾で登っていけばいい。
そうであるならば、アナベルはエリザベートと同等以上の「利用価値」を持つ必要がある。
保険としての価値と、エリザベートを焦らせるための材料として。
ところが、ジュリアンはアナベルの素性がわかる前からアナベルと楽しそうに会話しているように見える。
しかもジュリアンはアナベルを口説いてる時本当に優しく包容力のある素敵なきりやんの表情。
一番きりやんのかっこいい姿だとは思うけど、役としては崩壊しているw

アナベルは目が見えない設定。
「道具としてアナベルを口説いてる」ことにしたいなら、アナベルと二人きりの時のジュリアンは企み顔とか冷たい眼差しとか、せめて野望の目じゃないと。
アナベルにはジュリアンの表情はわからないのだから、ジュリアンの「愛情なさそうな顔」に気づかず言葉にだけ騙され深みにはまっていく、それなら「ジュリアンはアナベルを利用した」と観客にはスムーズに理解できる。
ところがマジな顔、優しい顔でジュリアンがアナベルを口説いちゃうもんだから、話が通らない。
あの時のジュリアンはエリザベートのツンデレの過激さにダメージくらってるところだから、アナベルがマジ天使に見えたんだろうけども。

挙句の果て、時間が足りないからか、アナベルは独り相撲で自殺する。
別に自殺というエンディングが悪いわけではなくて。
「裏切られた!」となるならジュリアンに怒りをぶつけてほしいし、身を引くというのなら自殺はジュリアンにとって後味が悪すぎるだろう、復讐としての自殺なら山荘にこもる話をジュリアンに隠せっつ~のはおかしい。
アナベルのそれまでの聡明さと不釣り合いな行動すぎる、その割に錯乱してる描写もない。

サビーヌはジュリアンに対して「結婚してほしい」的な言動は一切見せず、エリザベートの言動はひどすぎ、そんな状況でかわいそうで可愛くて聡明な女性が現れたらそりゃジュリアンもそっちになびくだろう。
しかもエリザベートがなびいた瞬間も、迷わずニヤリと乗り換える感じじゃないジュリアン。
いろいろめちゃくちゃ。

まぁまさきのジャックもストーカーだし、変な人だけど、まさきは勢いとハッタリで見せるタイプだから。
人間として破たんしている役に関してはきりやんよりずっと向いている。

みりお君の役もまぁまともな人なんだろうし、アナベルを愛してるのはわかるんだが…
どうにも描写が少ない。
最後にジュリアンを撃つのもどうやって居場所突き止めたんだ、とか夜なのにすごい射撃の腕だな、とか突っ込み所満載。
でもまぁ「優しく尽くしてくれる男、愛する女の恋すら応援しちゃう男」はある意味女のドリームだからね。
「幼馴染の優秀な男」「自分をしつこく口説く危ない男」「立場上強く出ることは決してない優しく尽くしてくれる男」、うん、ある種の逆ハーレムとしちゃ悪くない。
その上「エロかっこいい政治家」がタイプ違いで二人も!w(リュウ様とマギー
それと「人畜無害真面目で素直なお友達キャラ」(もりえちゃん
モブには若くてカッコイイ男の子大集合。
話のノリが軽けりゃ悪くないのになあ。

まさきの「ワルい男」っぷりは面白い領域に達していて、嫌いじゃない。
いや、まさきの立場的にそれはどうなの、って問題はおいといて。
もりえちゃんのいい人っぷりも、みりお君のヘタレな優しさと最後に糸が切れちゃう感じも、リュウ様とマギーのエロかっこよさも、大好き。
きりやんの包容力も、まりもちゃんの健気さも、みくちゃんの透明感も、りっちーのツンデレも、若手のきらきらっぷりもいいんだよ。
あとはもうちょいノリを軽くして、ドロドロしてるのに矛盾だらけのこのドラマを「キャラ見て愉しめばOK」なもんにしてくれればねえ…
まぁ柴田先生は大御所だからそれは無理だろうけども。


一方で、ショーは素晴らしい。
月色男子!カジモド!デュエットダンス満載!

月色男子は韓流スター風アイドルナンバー。
もちろんとしくん最高。
韓流だけじゃなく昭和の香り漂うアイドル衣装でガンガン踊ってウィンクしてソロもらってて、ああもう幸せ。
何回でも見たい、としくん以外も見たいのに目が足りない。

カジモドは「ノートルダムの鐘」をモチーフにしてる。
ジプシーダンサーのとし君とるう君も素晴らしいんだけど、まりもちゃんのダンスがまたすごい。
背むし男カジモドに扮したきりやんの手を取って優しく踊りだす時も。
カジモドがいなくなった後カジモドにもらった花を手に、もう一度カジモドと踊った振りを踊りだす、悲しい狂気も。
それを止める、るう君の悲痛さも。
最後天使になるカジモドの神々しさ。
もうね、近年のショーで最高かもしれない。
っていうかもう最近の月組のショーは本当どれも大好きだわ。
ダンサーも歌手もスターたくさんでキラキラしてて、きりやんもまりもちゃんも素敵でデュエットもピッタリあってて。
どのデュエットも違う雰囲気なのに、どれも息がぴったり合っている。
ダンシン!ロマネ~スク~  ダンシン!ロマネ~スク~、が、もうずっと頭の中回ってるぐらい大好き。
ショーのためだけでも通う価値のある、素晴らしいショーだった。
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