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2019-07

愛と青春の旅立ち

いやあ、青春ものっていいね。
星組の暑苦しさって愛しいね。
ストーリーはおなじみのアメリカ映画のそのまんま。
士官学校に入ったザックの成長物語、鬼教官と同級生、地元の女の子との恋。
テンプレ青春もので、悲しい終わりを迎える仲間はいるけど、本人は最後はハッピーエンド。
だけど。
今回、かなり泣かされた。
私自身もう青春なんてはるか遠くだから。
この手の青春ものっていうのは、失った人間にこそ響く。
失った人間にこそ痛いし、意味がある。
美化された過去ほど人を引き付けるものはないからね~。

でも今回、一番泣かされたのは実はテル君の軍曹だ。
ヅカの常識ひっくり返すトンデモナイ暴言吐く上に、見た目もぶっといもみあげに飾りなしのリアル軍服でおまけに若干黒塗りと、とてもビジュアル系テル君らしからぬ風貌で演じてるわけなんだけど。
星に来てからのテル君はなぜか芝居が開花したような気がする。
ホゲ以来テル君には泣かされっぱなしだ。
まぁ雪組時代はビジュアル重視な役ばかりでヘタレ役者と化していた部分があって、それを組替えでリセットされたのがよかったんだろね。
軍曹の、暴言の裏の愛情がちゃんと見える。
負傷がきっかけで前線を外れたから士官学校にいるんだろうけど、だけどちゃんと教育にマジになってて、ちっとも絶望してない強さが見える。
本当に国を愛してて、軍人だけど戦争したいわけじゃなくて。
国のため、若者のため、憎まれ役に徹する強さ。
追試不合格やアレルギーで退学にすることを「死なせないための優しさ」と言い切る、甘やかしではない強さと優しさ。
それがどんどん伝わってきて、泣ける。
しかもカッコイイ。
ザックのことだって本気で心配してるし、ほかの生徒の努力だってちゃんと見てる。
だからしごけるんだ。
どこまでしごいていいか、考えてしごいてる。
だから「リンチ」じゃないわけだ。
これって、すごいことだよ。
ザックの家庭環境まで把握してたしね。
そこまでやってるのに、憎まれ役であることを迷わず選べるってすごいよね。
普通少しは感謝されたくなっちゃうもんだよ、人間相手の仕事ってさ。
その見返りを少しも求めないって半端な人間にはできない。
見返りを全く求めない強さは男女関係なく、人としてカッコイイ。

最後、士官学校の卒業式のシーン。
軍曹と学生の上下関係が逆転する。
士官学校出たらいきなり少尉だからね。
その時の表情のかっこよさ、敬礼のキマリっぷり。
ザックに軍曹殿、って呼ばれて「殿」は要りません、って敬語で返す瞬間にときめいた。
なのに、軍曹は次の瞬間ザックを罵倒するのに使ってたあだ名で呼ぶ。
その瞬間の表情がまたもうね、カッコイイ。
そして去っていくザックが銀橋でねねちゃんといちゃいちゃしている間に上手花道で新入生をしごく軍曹。
なんかわけのわからない涙が出た。
全く泣くとこじゃないし、なんで泣いたのかわかんないんだけど。
本当に泣ける芝居って案外そんなもんだよね。

今回、テル君ってここまでできるのか~、と本当感動した。
ただし、フィナーレはあのぶっといもみあげがユカイなことになってるw
笑っちゃいけませんw私は危なかった。
こんなオチがついちゃうあたりはやっぱりテルくんだw

さて、すっかり後回しになっちゃったけど、ほかのメンツもいいのよ。
ザックの変化をちえちゃんはちゃんと演じきったし、ねねちゃんとれみちゃんの対比もいいし、とよこ様の王子様っぷりはどんな外見でも変わらないし、べに君はラストシーンの白い軍服でぼろ泣きさせてくれるし、コロちゃんの強い黒人女なんてまさにはまり役だし、音波みのりちゃんの女性士官目指す女の子は少年漫画必須キャラって感じでそのまっすぐさが泣かせてくれるし、組長はなんでこんな飲んだくれおやじが似合うのかとか、校長先生超GJとか、ザック応援団でチアガールの恰好する仲間たちのオモシロ可愛さが最高だったり、ほかにもいろいろ。

れみちゃんの役はハッキリ言って人としてどうよ、な言動満載。
だけど時代と状況を考えたら、そうなってしまうのはある意味不可抗力であって。
今の私らの感覚で怒るのは違う。
べに君のシドを自殺に追い込むのはれみちゃんのリネットなんだけど。
だけどそれを酷いで済ませられないからこの作品は痛い。

べに君のシドはなんというか、あまりに見てて心が痛い役。
死んだ兄の代わりに軍人にさせられる、婚約者すら兄のおさがり。
自分で何かを決めるという経験もなく、ただただ周囲の期待に応えるよう耐える日々。
そして兄もその婚約者もその期待にアッサリ応えちゃった人なわけだ。
自分だけが逃げるなんてできない。
正直このシドの親には怒りしか感じないわけだが。
婚約者も嫌いだ。
シドがかわいそうでかわいそうで。
最後のシドの絶望が本当に辛い。
でも、エリザベートのルドルフじゃないが、死んでようやくシドは安寧を得たのかもしれない、とも思うと救われない。
退学を決めた時の晴れ晴れとした表情があまりに悲しい。
「初めて自分で選んだんだ、後悔しない」
そうハッキリ言い切るのが、それまでのシドの人生を想像させてどうしようもなく怒りと悲しみがあふれてくる。
リネットに本気で恋して、だけどそのために退学したらリネットに捨てられて、絶望して死んでしまう。
そこまでパッキリ折れてしまったのは、やっぱりリネットしかシドには支えがなかったから。
いざというとき、追い詰められたとき、親も婚約者も支えてくれる存在じゃなかったんだ、シドには。
思い出すと自分を奮い立たせることができるような成功体験も何一つシドにはなかったんだろう。
だから自殺してしまった。
「悪役」じゃないんだが、でもシドの両親には怒りがこみ上げる。

音波みのりちゃんのシーガー(士官目指す女の子)は、青春ものにはなくてはならないキャラ。
ただそんなテンプレ役をステキに見せてるのは彼女の実力。
でも、一番の見どころは、そんな「青春ものらしい努力する姿」じゃなく。
シドの死を知らされた瞬間。
それまで全く涙を見せなかったシーガーが泣く。
でも、背中を向けて泣く。
わざわざ後ろを向いて、それから泣く。
その微妙な芝居がいい。
演出のせいか音波みのりちゃんがいいのかはわからないけどね。

後はとよこ様。
とよこ様がステキなのは当たり前だけど、今回のとよこ様は妻子持ち!
結婚して5年で、子どもも複数いるらしい。
でも妻とはラブラブ。
黒塗りだし、多分黒人。
だけど黒髪じゃないんだなあ…混血か?
原作にはいない役だからよくわからんのよね、プログラムまだ買ってないし。
黒人といえば原作じゃ軍曹も黒人なんだよね。
そう考えるとあの暴言連発は白人の学生にはよりキツかったろうなあ…
でもってとよこ様、女の子の品定めの話をふられても「妻がいる」ってバッサリ。
そのバッサリぶりに逆にときめく。
あんな旦那様いたらどんなにいいだろうと…w
面会に来た妻とラブラブ踊ってるのもステキだし、「外出できないと妻と面会できない!」って必死になるのもステキ。
いやあ、とよこ様は星組の宝だわ…

組長はいつもの組長クオリティ、シークレットハンターの飲んだくれおやじとどこが違うといわれても困るw
だけどあの役は組長じゃないとダメだわ。
そこらへんが組長のすごいとこなんだろね~。
校長先生のソルーナさんはもう、さすが、としか。
軍服の着こなしといい、なんともいえない人物の大きさといい、さすが専科。
専科がいないとやっぱりしまらないよねえ。

水輝涼は今回実にいい使われ方をしているw
というかいつの間にかあんなハマコちゃんみたいな芸風になってたのねw
面白いしうまいし、ちょっと出てきただけで超インパクト。
自由にアドリブで遊んでも漂う安心感。
なんでこの人が専科になるまでいないのか理解できないぐらいw
指揮者の先生まで巻き込んで、アカペラで歌って、客席いじって、もう実に楽しそう。
いやあ、完全燃焼だね。

なのになのに、なのでにしき愛さんはあんなん(シド父)なのよ。
人として魅力的なところはカケラもなく、面白い見せ場があるわけでもなく、ただただ嫌な奴。
もすこしなんとかならんかったのか…
ショーでは使われてるけどさ。

ザックのちえちゃん。
傷ついた部分が最初から出ているせいか、「汚い商売」で点数稼ぎしててもどこか偽悪的な感じで、本当に腐ってる感じはしない。
デラセラが妻と会えるようにブーツを譲るシーンでさらにその感覚が確信に変わるわけだけど。
最初見捨てたシーガーを最後助けるのは、仲間への思いやりが芽生えたからじゃなく、自分に素直になれたから。
勝手な解釈だけどね。
それまでのザックが人に心を開けなかったのは、思いやりがないからでも、人を好きになれないからでもなく。
裏切りが怖いから。
相手が自分を愛してくれてると実感も確信もできずに生きてきたから。
その傷をいやされて初めて、自分の中の愛情を表現できるようになったし、まさに歌詞の通り「壁を越えて自分の優しさに気付いた」んだと思う。
ポーラに金渡して行為に及ぼうとするのだって、ポーラの気持ちを試してるんだよね、無意識に。
もしあれでポーラが応じたら、ザックはまた傷つくのよ。
自分の金が目当てなだけで、この女も俺を愛してくれなかったんだ、ってね。
傷ついた子供の行動そのまんまでガキっぽくてカッコワルイんだけどね。
だけどその傷がもう観客には見えてるから、痛みに共感してるから。
だからカッコワルイってならない。
そのあともザックはシドの一件をポーラに八つ当たりして、さすがにポーラと離れてしまうんだけど。
その時にもザックは傷つけながら傷ついていて。
今までのザックならそこで心を閉じて終わってるけど、今回は卒業式の後ポーラを迎えに行けた。
ポーラを信じられたからか、傷が癒えたからか、ポーラは傷ついてもどうしても思いを伝えたいほど好きだったのか。
どれが正解か、どれも正解かはわからないけれど、ザックの中の変化の集大成が「ポーラを迎えに行けた」ことだと思う。
ザックの成長は、一番はそこだと、だからこそ、「愛と青春の旅立ち」なんだろう、と。

ねねちゃんのポーラ。
リネットとなんでここまで違うのかが不思議、似たような環境で育ったはずなのに。
それはさておき、この子もまた「強い女」。
若くして母性もなきゃいけないし、自分に対する確固たるプライドだって必要だし、周囲にどんだけ言われてもザックへの思いを貫ける強さだって必要だし。
ねねちゃんがそんなにできてたとは思わない…けど、ダメじゃなかったとも思う、今回は。
いつか捨てられる、結ばれない、とわかってて愛し続ける強さ。
私には無理だもん。
つか無理だったもん。
なんでそんな強くなれるのか、不思議でならない。
だから最後ザックが来たとき「よかったね」って、心の底から思える。
ポーラ母の柚美ねえさんとの関係もいい感じだったしね。

そのポーラ親子と対照的なのがコロちゃん。
蓮っ葉な黒人女で、愛だのなんだの甘っちょろいこと言ってるポーラをバカにするわけ。
ろくに書き込まれてない役だからわからないけど、だけどなんかドラマを感じさせる。
士官学校の生徒との間に生まれた子がいるとか妄想できそう。

デラセラのともみんはなぁ…特に書き込むこともなく。
ほかの若手は学生仲間にまとめてポンだし、上級生もさやかちゃんやみきちぐですら軍曹の腰ぎんちゃくで、特筆することがない…
名前のある役が多い割には主役とその周り数人以外印象に残りにくいかも。
スカピンだってピンパネ団にまとめてポンだったのに、この違いはなんだ???

さて、もう充分長すぎるけど、やっとこさショーの感想へ。
つ~ても今回はショーが先なんだけどね。
私はに日本もののショー、大好きだと再確認した。
集客の関係で、松本先生のためにゴリ押ししないと企画通んないなら、松本先生付きで全然OKだからこれからも年に一回ぐらいはどこかで日本ものショーやってほしいね。
で、今回注目したっていうか完全にやられてしまったのはべに君。
何あの色っぽさ!
流し目とかされたらもう溶けるんだけど。
ちえねねの色気不足なところに色気ダダ漏れのべに君登場とかもうね!
それだけじゃなく、組長にも変な色気があってね~。
かっこよくて惚れる感じじゃないんだけど、あれは色気としか言いようがないというか。
どいちゃんの棒さばきのかっこよさにほれぼれしたり。
チョンパもワクワクするし、このショー大好きだ。
とよこ様はやっぱり王子様だしw

やっぱり星組好きだな~。
王子様と暑苦しい野郎が同居できる個性はほかの組にはないもん。
私には星組があってるわ。
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