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2018-11

できない時ほどグッとくる彼@ひかりふる路

だいもんの雪組、フランス革命物!
これだけの事前情報でのこのこと劇場へ。
いやあやっぱりいいわ、フランス革命。
ロマンだわ。


まず、だいもんって人はドラマチックなのよ。
芝居の上手下手とかそういう事じゃなくて、持ち味がドラマチックなの。
そして、基本が悲劇。
苦悩が似合うし、苦悩がリアル。

糞真面目な天涯孤独な若者が、糞真面目故に突き進む。
革命でたくさんの死と争いと血に染まり、どこかの段階で壊れてしまい、英雄が憎まれ者になる。
処刑される前の瞬間に一瞬だけ触れた愛が目の前に…

だいもんに宛書された役、まさにだいもんのための役。
そしてまた周りがね…

コマちゃんのどこまでも優しく友情に厚く、だけどどこかヘタレて武力行使に出られない姿。
きいちゃんの凛とした佇まい、それが愛で一瞬崩れる美しさ。



ただね、今回はさきなを語りたい。
今回のさきなは「ダントン」という骨太な革命家。
使途不明金を作り、なじられるシーンが芝居の前半にある。
このお金はイギリスにバラまいて外交問題の終結を図っていたが、失敗、議会を追放される。
だけどロベスピエールが壊れた時、カミーユ(コマちゃん)の声に呼応して帰ってくる。
2人きりで、ロベスピエールに決死の説得を試みるんだけど、失敗して処刑。
ダントンは好き好んで喧嘩を買うわけじゃない。
彼の妻(劇中で亡くなる)だけがそれを理解していたけれど。
本当は身近な人の幸せを願う、そのためにのみ手を汚す覚悟のある男。
最後の「決死の説得」の時のダントンの哀しみが痛い。

ダントンは、ロベスピエールの幸せを願う唯一の人だったのに。
「革命の英雄」や「正義の法律家」じゃない、ただのマキシム(ロベスピエールのファーストネーム)の幸せを願ってるのは、ダントンだけだった。
今回の話、ヒロインでさえロベスピエールの「革命の英雄」としての彼の姿、彼の理想に惚れ込む設定で。

正直、技術的にさきなが足りているとは思えない。
ダントンの本来の設定を演じきれる実力派の男役は他にいるだろう。
だけど、その「いっぱいいっぱいさ」というか…
「無理に骨太な男を演じる、演じきれてない、今のさきな」が私の心にヒットしたのも事実なの。
最後の処刑のシーンの「狂い方」も中途半端だし、「決死の説得」だって「骨太な男」の化けの皮がどんどん剥がれて話が散らかってる。
でも、その今のさきなだから、よかった気がする。

だいもんのロベスピエールとの芝居のかみ合い方が最高だったのよ。
悲劇芝居の似合うだいもん、不幸に自ら突っ走る男が似合っちゃうだいもん。
そんな男の隣には、不器用だけどマキシムを守るため体を張って似合わないキャラを演じる、そんな親友がいたっていいじゃない。
誰もが英雄とあがめるけれど、自分の幸せを1ミリも考えられない男、それ故に大事な局面で舵取りを間違ったロベスピエール。
そんな男の人生に、1人ぐらい本気で素のマキシムを愛した男がいたっていいじゃない。

「決死の説得」のシーン。
マキシムのために用意した食事を完全拒否されて、食事を床に払いのける瞬間のダントンの背中。
芝居の技術なんか置いといて、あの背中が私には全てだった。
親友にあんな背中をされたら、私なら自分を貫けない。
それでもマキシムはブレない。
ブレることができない。
それが哀しい。
ダントンの背中が泣いている、どんなセリフよりそれが痛かった。

マキシム自身の幸せを追求していたらきっと、優しい彼はあんな恐怖政治にはいきつかなかっただろう。
結局、使い古された名言だけど「自分を大切にできない人は他人も大切にできない」んだ。
愛する妻のいたダントンは、「身近な幸せを無視して大局だけ見る危うさ」は理解していただろう。
このままじゃマキシムが壊れてしまう、マキシムにはもっと「小さな守りたい存在」がいないとダメだ。
芝居冒頭のシーンでの「マキシム、結婚しろ」は単なる親友同士のじゃれ合いじゃない。

さきなの演じる「骨太な男」はセリフ回しが時々ぎこちない。
妻の肩に顔をうずめてる瞬間だけが生きた芝居になってるぐらいに。
だけど、だからこそ、この「キャラ」を演じる理由がマキシムのためだと思うと、哀しい。
改めて思う。
芝居って技術じゃないんだわ。
ロジェのヴィンセントの時から「できてない時ほどグっとくる芝居をする」子なんだよねえ、さきな。
うん、なんだかんだ言って、私さきなが好きなんだと思う。

そもそも私の好みからして「愛する人のための必死の背伸び」が好きなのよ。
可愛いじゃない。
モてる男の余裕の口説きより、普段モテない男が「丸一日文面考えて、正座して震える人差し指で送信ボタン押したお誘いメール」の方がキュンとするんだもん。
「できてない時のさきな」はまさにコレなんだわ。
中身がコレなのに、外側は美形でしょ?
そりゃあ私も知らないうちに落ちるわ。
(できている時のさきなが好きになるかどうかはまた別かもしれないが…




ところで、サン=ジュストがすごいよ。
どんな言動の時も、天使のまま。
子犬のようにマキシムに尻尾を振って、「マキシムと呼んでいい」という言葉に目を輝かせた時のまま。
それでいて、一番残虐なんだから。
ハッチさんのタレーランに対抗できる唯一の人間、って感じだったわ。


今回、ロベスピエール、ダントン、サン=ジュストが見事に三者三様の「男役の一つの完成形」な設定で面白かった。
えりたんは絶対マキシムタイプだな、とか。
さえちゃんは意外とダントンだろうな、とか。




さて、ショー。
ちゃんと踊ったよ!
間近で見たきゃびぃの二の腕がなかなかマッスルだったよ!
にわにわさん含め上級生ズの狂言回しも良かった。
今回はデュエットの衣装も私好みだったし。
若手男役の韓流アイドル風シーン、かなり定番化してきたね。
コレも鉄板だけど、スパニッシュご馳走様です。


公演デザートも今回は「あたり」回だったし、大満足。
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