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2010-08

ロジェ

水さんの退団公演、ロジェとロックオン。
まずはロジェの感想から。
今回のキーパーソンはシュミット@とおま君とゲルハルト@にわにわさん。
どちらも戦時中にとんでもない残虐な行為をしてきた「悪人」の役だ。
だけど、とおま君もにわにわさんも暖かい真面目な人柄の人だから。
血の通わない、誰もが憎むような男にはならない。
真面目で人の心をもった普通の人間が、戦争という異常事態のせいで残虐な行為に手を染める。
そしてその過去にまとわりつかれ、その人本来の性格ならおくるはずのできた穏やかな生活を失う。
それは重い現実で、わかりやすく極悪非道な人間が虐殺に走るよりずっと見ている人間の胸をえぐる。
妻子を愛している普通の良き家庭人が、地域の人に愛される良心的な診療所を経営する医者が、かつてはたくさんの人を殺した。
狂った状況ではまともな人間もくるってしまうから。

ロジェはずっと「シュミット個人」への復讐を誓ってきたけれど、最後の最後でシュミットを殺さない。
それはわかっていながら目をそむけてきた「異常な状況だからああいう行動に出ただけで、その本人を憎んでも意味がない」ことから目をそらすことができなくなったからだと思う。
あんな目をした男をみたことがない云々も、単に「狂った男を見たことがなかった」だけ。
結局のところ「個人への復讐」は憎しみの連鎖以上のものは産まないから。
もしロジェがシュミットを殺していたら。
今度はシュミットを慕う少女、マリアが復讐に走るかもしれない。
「自分の苦しみ」以外を見てしまうと、残るのはそんな現実。

憎みたいのに、憎むべき相手が空中分解してしまう苦しさ。
少年のロジェはシュミットを憎んでいればよかった。
だけど大人になったロジェはいつまでもそのままじゃいられない。

「わかりやすい悪人」がいないから、誰もが迷う。
冷徹な賢い暗殺者として描かれていたクラウスでさえも、シュミットに拒絶され傷ついた表情をする。
「俺はあなたを守ってきたのに」
仕事としてだけじゃない感情がどこかに芽生えていたんだろうな。
おそらく裕福ではない若者、きっと人を信じることも愛されることも充分でなかった若者。
そんなクラウスにとってシュミットは父親のように感じられたんじゃないかな。
これは完全なる深読み、妄想だけど。
ゲルハルトの幸せな家庭を見、シュミットのそばにずっといて。
クラウスも少なからず変わって行ったはずだ。

レアもきっとわかっていた、「誰もが憎む、悪の塊」なんて存在しないことを。
ユダヤに産まれ、収容所の時代を引きずる両親と暮らして。
戦争を憎んだだけじゃなく、ナチスをヒトラーを憎んだ時期だってきっとあっただろう。
だけど。
ヒトラーは選挙で選ばれている。
間違えたのはヒトラーだけじゃなかった。
第一次世界大戦の敗戦で、賠償金に押しつぶされ、札束で積木ができるほどのインフレだったドイツ。
誰もが「憎むべき敵」を求めていた。
既に時代は狂っていた。
歴史を学べば学ぶほど、誰か「人」を憎んでもラスボスにたどり着けないことに気づいてしまう。
戦争がなければ普通の人だった人が虐殺に手を染める。
それをわかってはいても、虐殺をした人間を野放しにしておいていいわけはない。
そのジレンマ。
それを乗り越えて、戦うことを選んだレア。

バシュレも深い。
深い憎しみがあるはずなのに、どこかコミカルさを持っていて。
それはロジェのためかもしれないし、バシュレが苦しみから逃げるためかもしれない。
だけど、その明るさがないと救われないし、ロジェが殺す前に一歩立ち止まれたのはバシュレのおかげだ。
バシュレが倒れた時、ロジェは復讐もなにも忘れて「助けてくれ」と叫んだ。
ロジェにとって本当の核は、意識していなかったかもしれないけど、バシュレであって、復讐じゃなかった。
結局のところロジェも普通の人間になっていて、でもそうなれたのはバシュレの存在なんだよね。
大切な存在がいたから、復讐の前に立ち止まれた。
親子じゃないけど、親子なんだと、感じさせてくれる。

マキシムはストーリー進行上は必要ない。
だけど観客の気持ちの上で必要な役。
明るくてまじめでまっすぐでだけど空気読めなくて面白い。
ひろみちゃんは地味な役だけど、しっかり支えてくれている。
ロジェが拾った革ジャンの青年の彩風くんは、芝居のセンスみたいなものは感じる。
突っ張った若者は若手には有利な役だけど、それを差し引いてもよかったと思う。
なぜか着たきり雀のロジェの女上司もなかなか。
問題は…キムちゃん。
主人公ロジェの親友というありがちな設定なわけだが…
背景の掘り下げが足りないせいもあって、薄い。
正塚先生ももっと「次期トップ」意識して役を振ってほしいもんだ。
話の書き方次第じゃシュミットが二番手でもいいような話なんだからさあ。
シュミットを掘り下げて過去シーン(ヒゲなし)追加して二番手に据えるとか、現状のままにしても警察に入るきっかけとなった「妹の誘拐事件」を本筋にからめて、キムちゃんの役にももっと精神的な変化を芝居の初めと終わりでつけさせるとか。
キムちゃんはまだ影のない役だとそつなくこなすだけで終わってしまうから。
脚本でそこはカバーしてあげないと。
サヨナラ公演はお披露目の1作前なんだってことを忘れてる先生が多いんじゃないかと思ってしまうぐらい、ちえちゃんにせよキムちゃんにせよ役が薄いなあ。
ミズさんはさすが男役の集大成で着崩したスーツがかなりかっこよかったので、そういうとこ含めてキムちゃんはもっともっとミズさんから勉強してほしいな。
ガンバレ、キムちゃん。
…トップ娘不在とかいうとんでもないハンデ背負わされるしさ。

さて、ショーのほうはと言うと。
一番最初のシーンが一番よかったような…
どうも冗長な感じのショーだったな、と全部見てしまうと思う。
だけど最初のシーンはまさにロックでいい感じだった。
客席おりありだし、テンションがあがる。
ジェンヌ一人ひとりが髪型やらなんやらしっかり個性出してて、見ていて楽しいし。
それと黒燕尾の男役がズラっと並んだのをミズさんが見回す演出はステキだ。
いかにもサヨナラらしい演出だけど、こういうベタなのも必要だよね。

ミズさんとみなこちゃんはこれで退団か~。
歌劇に載ってたみなこちゃんとまりもちゃんの同期対談になんだかほっこりしてしまった。
同期の友情っていいねえ。
次の雪組にトップ娘不在なのはいい加減にしろ歌劇団とは思うけど、でもキムちゃんはガンバレ!
キムちゃんは応援してるよ。

ミズさんの楽の出、仕事がサクサク終われば行けそう。
なんとか行けるといいな~
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GM

日曜9時からのGMが面白い。
オタク医者にスポットあてた回から見始めたんだけど、ハマった。
元々医療ドラマは好きだし、1話完結だし、と私には見やすい条件そろっていたし。

ヒガシは暖かい芝居のできる人で顔も悪くないし身体能力も高いのに、どうしてこうもヘンな人がハマり役でこうも面白いんだw
喰いタンもすごいハマって毎回見てたけど、今回も面白い。
つか連ドラ役者としてのヒガシはかなり好きかも知れないw

それ以外の配役も、このドラマはかなり役者のキャラの勝利ってとこがある。
上司にこびることで生き延びてる生瀬さん、気が強くてズケズケ言う小池栄子、優秀な変人ヒガシ、頭はキレるらしいいかにも憎たらしい悪役だけどどこか憎み切れない八嶋エトセトラ。
もちろん誰もかれも「実は…」な裏の顔もあるんだけど、それも含めてあて書きっぽい。

文系なのに医学もかじらざるを得ない専攻だったせいで、特に脳の損傷に関しては詳しいから、出てくる言葉にいちいち反応したり一緒になって病名推理したりして楽しみまくってる。
1回目から見ればよかったな~。
ちょっと後悔。

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朽葉

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このページの管理者、朽葉。
とにかく生のステージが好き。
お笑いメインに、芝居、宝塚と西へ東へ。

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