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2009-09

AIDA

とうこちゃんの退団後初の公演を見てきた。
本物の男性が演じるようになって、出演者が減って、その点で細かい変化はあるけど、基本的には宝塚のと同じもの。
でも私にとってはまったくの別物だった。

それは、私が自分はアイーダの生き方はできないと知ってしまったから。
自分の未来や家族、バイトなんかの全てと恋愛を天秤にかけて、自分の未来をとるという経験をしたから。

宝塚版を見た時は今思うと無邪気にアイーダに共感していた。
今の私にはその無邪気さ、言いかえれば若さはない。
実際にはすべてを捨てて愛に生きるなんてできないと、身をもって知っている。
アムネリスの痛みが、実感を持って迫ってくる。
「一時の感情で」となじるアイーダに、自分がなじられている感覚を覚える。
「それだけの男を愛したのか、あなたは」というラダメスのセリフが突き刺さる。

アイーダは「ただの女になりたい」と言う。
家族も何も、背負うものはすべてただの枷になってしまう。
アムネリスは自ら背負ったものとともに生きることを選ぶ。
「ファラオの娘だから」と。

思うに、アイーダの家庭に温かいものは少なかったのだろう。
母は早くに亡くなり、戦いに明け暮れる父と兄。
父は敵の将軍を倒すためなら自分の部下もろとも突き刺すような男。
「私が一番偉い」、これは本音だろう。
それでも、「父親と娘は離れられない定め」。
一番近しい人が、頭では人として大嫌いなのに、情が全く逆に動く。
「国かラダメスか」の葛藤のはるか以前から、アイーダの心は引き裂かれていた。
だから望んだのだろう、全てを投げ捨ててただ一つ手に入れる愛を。

アムネリスの家庭はきっと温かかったのだろう。
娘の望みをすべてかなえてやりたいと望む父。
周りが無責任に「ファラオの娘だから」と持ち上げる一方で、強く強く誇りを築き上げていったのだろう。
だから求めたのだろう、責任の伴う、愛によって背負うものをさらに支える愛を。
この二人の求める「愛」は全く別のものだ。
対極にある生き方。

ラダメスは家族関係がまるっきり書きこまれていないからさらなる妄想の世界に入ってしまうけれど。
ラダメスは「孤独」だった。
背負うものを憎みもせず、かといって何を犠牲にしてもそれを守る覚悟もなく。
ある意味本物の「根なし草」なのかもしれない。
ラダメスはアイーダもアムネリスも本当には理解できないんじゃないか、と思う。
今回のラダメスの芝居がそう感じさせるのかもしれないが…

恋のために全てを捨てることなんて、できはしない。
アイーダすら、最後の交換条件で父を助けた。
誰もが背負ったものとともに生きている、そう生きることを選んでいる。
そのことを受け入れられない人生はとても不幸だと思う。
だから結局のところ、アイーダの生い立ちは不幸なものだったと私には思えてならない。
背負ったものを憎んでも、憎んでも、それは消えない。
傷ついても泣いても生きていかねばならない。
そして傷つき涙しそれでも立ち上がって生きていく生き方にこそ、幸せは落ちているものだと思う。

手を取り合って心中して終わる物語は美しい。
人類の永遠のあこがれだ。
でもそうできない人間こそ、真の意味で人間らしい人間だ。
そういう意味でアムネリスの存在はこの物語では大きいと思う。
見ている人間にとって、夢であるアイーダと現実であるアムネリス。
その二人がぶつかり合うことにこそ、この物語の魅力はあると思った。
ただの悲恋に終わらない、もっと深遠な魅力が。


それはそうと、役者語り。
ラダメス君は…うむむ。
歌とか芝居とかその…ねえ?
アモナスロとウバルドは素敵な狂気で素晴らしい。
アモナスロとファラオの歌は絶品。
というかエチオピア女役の女性ソロも含め、歌がみなかなりハイレベル。
ファラオの温かさ、アモナスロの熱い冷たさ。
この対比がいいよ。
アムネリスは少し芝居が弱いかな、と思った。
もっともっと前に出ていいと思う。
ケペルとメレルカがどうもな~…役者に罪はないんだが。
宝塚版だとしいちゃんとちえちゃんで、役者フィルターかかってたんだな、と。
こんな書きこまれてない役だったとは。
ヘタレたサウフェがいないのが本当にさみしい。
大好きだったのに。

アイーダ?とうこちゃんは素晴らしいに決まってる!
一時帰国した時の衣装はその…ごにょごにょ。
でも歌は高音まできれいに出ているし、ちゃんと「強さ」のあるアイーダのままだった。
相手役が男になったから、で芝居の差がそんなにあるとは思わなかったな。
ただいかんせんラダメスが薄まってるからなあ…
歌詞がなぜかパワーアップしてるのは置いといて、ラダメスへの気持ちを歌うナンバーがかなり追加されてることでラブストーリーとして愛が前面に出てきた感じ。
だからキムシン、平和平和叫びすぎてたの修正できるんなら最初からやるな!
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朽葉

Author:朽葉
このページの管理者、朽葉。
とにかく生のステージが好き。
お笑いメインに、芝居、宝塚と西へ東へ。

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