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2019-08

もっと愛が歪んでもいいのに@ファントム

エリザベートやベルばら程ではないせよ、再演を重ねてきたファントム。
私も結構回数見ている、全バージョンコンプリートする勢いで。
ブログに書いてるのは大沢たかお版(NOT宝塚)と蘭寿とむ版(個人的にはえりたん版)の2本。

まずヅカ版と大沢版の決定的な違いは新支配人とその妻カルロッタの扱い。
さらにそれはエリックのキャラ設定にも影響していると思う。

ヅカではエリックは無垢な少年だ。
初演からその傾向はあったけど、どんどんどの方向に突き進んで今回に至る。
エリックの愛の「歪み」はあまりクローズアップしない。
その結果、クリスティーヌは聖母、支配人とカルロッタは悪役と役割がキッチリ書き分けられる。
キャリエールは不倫男なんだが、なんとなくうやむやにベラドーヴァを美化して誤魔化す。

大沢版では全員「人間」だ。
エリックは幼い精神故にクリスティーヌへの愛が歪んだ形でしか表現できない。
新支配人はカルロッタのために強引なやり方はしたけど、カルロッタへの愛は本物。
カルロッタは自己中なところはあるものの、夫を愛しオペラも愛してる。
キャリエールは優柔不断不倫男だけど、愛する気持ちも本物だ。


この差を象徴するのが、カルロッタのナンバー。
ヅカ版にはある「綺麗な子をいじめたり」という歌詞は大沢版には存在しない。


宝塚は麗しい男役というのがそりゃあもう重要な「売り」だ。
だから男役トップスターの役であるエリックを美化するのは当然なのでそれはいい。
ただ、その結果としてカルロッタが明確に悪役になってしまったのは少し残念だと思った。


今回、雪組版はさらにエリックの少年化が進んだ。
クリスティーヌのまあやちゃんが思いのほか落ち着いた役作りで、芝居後半になるとクリスティーヌの方がお姉さんに見えてくるほど。
今回キャリエールも割と若い作りなので余計に。
ざっくりした印象で言うと

宙組和央版 エリック25、キャリエール45、クリスティーヌ18、フィリップ28(回想シーンはキャリエール20、ベラドーヴァ18)
大沢版 エリック28、キャリエール50、クリスティーヌ20、フィリップ30(回想シーンは上に同じ)
雪組版 エリック18、キャリエール38、クリスティーヌ20、フィリップ25(回想シーンはキャリエール20、ベラドーヴァ22)

どのバージョンが正解かとかではなく、あくまで印象の違いの話ね。
まあやちゃんがあんまり「三歩下がって」タイプでないのを差し引いても、クリスティーヌの方がお姉さんに見えるとは。
エリックの少年化が進んでいく中で、「エリックの愛は歪んでいる」というのが見えにくくなった気がする。
だいもんは「歪んだ愛」演じるの上手い人なのにもったいない。

しかも今回キャリエールが若い。
さきながあんまりオッサンに作っていないからね。
現在40前にしか見えないから、逆算してさらにエリックが若く見えるという。

「渋い」キャリエールじゃなくなったせいで余計にキャリエールの行動が優柔不断なボクちゃんだってのが際立つ。
だから回想シーンすら姉さん女房に見える。
これはこれでいいんだけど、今までのバージョンとだいぶ違うなあ。

今回、ベラドーヴァもなかなか個性的だった。
ベラドーヴァ、キャリエールと結婚できないと分かって壊れてしまう。
街をさまよう中で怪しい老婆から薬草を買う。
この薬草のせいでエリックの顔がああなってしまうんだけど…
今までこの薬草は堕胎薬だと疑ってなかった。
怪しい老婆が町の片隅で売ってるんだから、まぁ娼婦とかに売ってるんだろうと。
でも今回はベラドーヴァは毒を飲んで死のうとしているように見えた。
理屈じゃなく、そう感じた。

それと今回、女役の従者が二人いて。
バリッバリのダンサーでとんでもなくカッコイイ。
ジャンクロードも今回かなり「父親っぽい」役作りでいいね。
そしてこの役、劇中劇のシーンで「開演!」とかのアナウンスをする。
これがあるから美声必須の役どころ、にわにわさんにはピッタリ。



今回の雪組版、私が変わったのか演出が変わったのか。
今までとかなり違う感じ方ができて面白かった。
しかも公演デザートもアタリだった。
良いことづくめ。
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今更ながら@凱旋門

実は初演も観たよ凱旋門。
いつの間に、こんな年を取ったのかしら。
初演の頃、あの頃私は若かった。

初演と再演で主演(ラヴィック)が同じイシちゃんだってのがまず衝撃なのだけど。
本当、あの人老けないわ…
本当は石像なんじゃないかな。

で、ストーリーは基本変更なし。
ただ、前回よりショーが長い分、やや削ったのかな?
そんなに「あのシーンがない!」みたいなことはなかったけど。

舞台は生もの。
それはすごい実感した。
初演の時のイシちゃんはトップとは言え組子だった。
何年も、相手によっちゃ十年以上一緒にやってきた仲間たち。
相手役のグンちゃんだって何作も組んできた相手だ。
今回は違う。
イシちゃんは専科で、雪組には何年かに一度しか出ない。
相手役も、二番手も、がっぷり芝居で組んできた相手じゃない。
しかも立場が違う。
生きるレジェンドとなったイシちゃん、どうやったって前と同じ距離感ではないだろう。

今回、にわにわさんはナチのゲシュタポを演じた。
彼は数少ないイシちゃん組子時代のメンバーだ。
彼の初舞台がノバボサノバ。
組内では上から一けたの雪組生え抜きのにわにわさんですら、数年しかイシちゃんと同じ組にいなかった現状。

芝居としては難しいなと。
せめて、イシちゃんの役が王様ならよかったんだ。
ある種の緊張感や上下関係が元から存在してる芝居なら。


ボリスが。
だいもんとタータンの芸風がそこまで遠くないと思う。
それでもなお、これだけなんか違和感があるんだなあと。

ハイメ、死の鳥、絵の三人組は初演時仲良し同期三人で演じていたものの、実は舞台上でそんなに絡む役ではなく。
そういえばそうだった、と。

あとアレだ、誰が演じようと共感できないのよ…ヒロインのジョアンに。
初演、初演特別講演、再演と3人のジョアンを私は観てる。
そして、初演の時に比べ私も随分と年を取った。
でもわからない。
いや、もしかしたらケータイがなくて女性も今ほど強くない時代にはジョアン的な女性が普通だったのかもしれないが。
共感できないもんは共感できない。
私よりさらに何十年か生きてるはずの母もジョアンに共感できてないようなので、これは年齢や人生経験の問題というよりは人格の問題なのだろう。

ヒロインが共感できないと、恋愛に共感できないので、きちんとした感想が構築できないの。
私は今の雪組のことは好きだ。
だいもんは組替えまえから見てるし。
だけど、分からない多過ぎるものはまとめられない。

ジョアンの浮気相手君もわからない。
ヤバい人、としか理解できないぐらいにわからない。


でもさ。
ラストシーン、ラヴィックとボリスの別れのシーン。
「ほら来いよ」って腕を広げる、だいもん。
その「来いよ」が胸キュンもののすばらしさだったのよ。
だいもん、今まで相手役にこういうアプローチする役ってあったっけ?
表情も腕の広げ方も素晴らしい。
ラヴィックが嫌がるの分かってるからちょっとSっぽく。
最後の別れの悲しみを隠そうと薄く笑ってるけど哀しみが透けていて。
何あの色っぽさ。
相手役に、娘役にそれをやって下さい、マジで。
これを言いたいだけでこの記事をアップすることにしたんだもん。
「わからない」だらけの感想をあげるのは私の美学(笑)に反するのだけども。

でも、あのだいもんはマジでカッコよかったから!
カッコいいは正義。



で、ショーは楽しく猫いっぱい!
だいもん、テーマパークっぽいの似合うなあ。


一番大事なものを守るということ@天は赤い河のほとり

まかぜくん見たさにリピート観劇!
久しぶりにどっぷり。
少女漫画と宝塚の相性の良さを再確認したわ。

この作品、原作はベルばら世代も親しんだぐらいの昭和レトロな少女漫画。
あの時代の少女漫画って基本「ラブコメ」な上、要求される知識水準が今どきの少女漫画と比べ物にならないぐらい高く、さらにヒロイン像が独特。

まず知識レベル。
現代で「ベルばらはまって世界史がフランス革命だけ成績爆上がり」なんて話が起きるのはよく聞く話。
この「赤い河~」だってそうよ。
古代ヒッタイト。
私はこの時点で相当危うい。
ツタンカーメンの時代の話、鉄がまだ普及したかしてないかぐらいの時期で、エジプトとヒッタイトがドンパチやってた時代。
まぁ運よく半年ほど前にテレビのエジプト女帝特集みたいなの見てたおかげでネフェルティティの事はそこそこ分かって、なんとかついていけたけど…



ラブコメ。
この時代の漫画家は作画力が高いため、デフォルメ絵でも誰が誰だか一目瞭然。
ちょこちょこ挟まるコメディタッチのシーンではデフォルメキャラに変わるのが当たり前。
当然、この作品も。
…「今絵がデフォルメになったぞ」ってすっごくよくわかるんですが。
芝居の色が変わる、流れてる空気が変わる。
それがすっごくわかりやすいの。


ヒロイン像。
ヒロインのユーリが逆ハーレム状態。
この「逆ハーレム」も、この時代の漫画は独特だ。
男性向けジャンルでのハーレム状態は基本「やれやれ系」などと揶揄される「何もしないけど、特に何か抜きんでるものもないけど愛される主人公」。
現代の少女漫画に多いのは「顔が一番かわいい女の子を差し置いてパーフェクト王子に愛される普通かそれ以下の頑張り屋のドジっ子ヒロイン」。
ユーリは違う。
戦場に立つ。
兵士に指示を出す。
命を懸けて戦う。
王に「王と同じ器の女」と認められる、戦いの女神。



宝塚では男役がメインだと思われがちだし、確かにファンは男役に多い。
だけど、ヒロインが「王と同じ器の女」であることってそれは女性向けのエンターテイメントにとって大事な事だと改めて思った。
そしてそういう作品はすごく少ない。
社会派を気取るのは私の性に合わないが、「専業主婦になりたい女子」が再び増加に転じて以降の作品には、ユーリのようなヒロインは出てこない。
けれど、「女子」でなくなった私たちにはユーリが必要だ。
いわゆる「女子」ではなく大人になった女性にとって、今の少女漫画の「実力じゃない『かわいさ』を持ち愛されるヒロイン」は憧れの対象にも感情移入の対象にもならない。
同時に男性向けジャンルの「何も抜きんでるもののない男に群がるワンオブゼムの女」もダメだ。
この時代の少女漫画は宝塚にとって、本当に貴重な財産となるだろう。
ちなみにヅカのオリジナル作品でこういうヒロインを一番上手く書けるのは大野先生!
私は昔から大野先生推しです。



さて、ここからは純粋に芝居の感想。
主人公の王子様、カイル・ムルシリはまかぜくん。
圧倒的な王子様力。
不敵な笑み、繊細な口説き方、ひざまずいた瞬間の美しさ、全てが王子様。
指先の形、手の平の角度、つま先の位置のわずかな違い。
そういうものがどれほど大事か。

皇太后が儀式のためにユーリを現代日本から召喚しちゃったので、現代では神隠し案件。
という説明をユーリの日本での彼氏と妹が説明してくれるシーンが冒頭にある。
ここでタブレットに掘られた文字を読みだすと一気にタイムトリップ。
このタブレットがキーアイテムなのよ。
で、シーンが古代に移ってタブレットを読みだすのは王子の幼馴染キックリ。
馬の世話と記録が担当、どういう分担?

ユーリは召喚されて早々に皇太后に追い回され、それを見つけた王子がユーリを助けるために一芝居うつ。
壁ドン!
…原作でも壁ドンしてるの?
王子はユーリが儀式のいけにえ用だとわかると、自分の屋敷に連れていく。
皇太后に渡したらユーリの喪が危ないうえ、儀式の目的は自分を呪うことだろうから。
この場面だけで王子サイド(軍隊としての部下、王子の個人的な腹心)がほぼ全員出てくるうえ、皇太后側の人間関係もだいたい説明されちゃう。
次は戦闘シーン。
ここでミタンニの黒太子の話にエジプト勢の紹介、ユーリ覚醒とまあ詰められるだけ要素が詰め込まれている。
とにかくここでユーリは黒太子に立ち向かい、国民の支持を受け、以降は「ユーリ・イシュタル」と戦いの女神の名を名乗るようになる。
この2シーンを理解しきれれば、後は萌えるだけなんだけどね。
お祭りの場面とか最高よ。
剣を持つユーリの勇ましさ、王子とエジプトのラムセス将軍の殺陣にもワクワク。
この二人、「お前は俺だ!」のランスロットと同じ組み合わせでねえ…
星組で大きくなった二人が宙組でまたちゃんばらしてるのよ。
もう親心発動するしかないでしょ。
(後半でもう一回闘うけど、そこもまたドラマティックで最高)

この「お祭り」がまたイイ。
屋台で売られてる蛇の丸焼きを見せられて慌てるユーリ、平気な顔して食べちゃう王子と弟。
この弟ザナンザがまた王子になつきまくってていい子なのよ。
桜木みなとくんが可愛い。
お祭りの前のシーンでも少女漫画らしく跳ねっ返りで剣の稽古に明け暮れるユーリとか、王の使用人の少年ティトとその姉妹とかわちゃわちゃ楽しい。
「日本での愛のしるしはハートマーク」なんてエピソードが出てきたり、わちゃわちゃシーンや単なるラブコメシーンに大事な萌え伏線があるので要注意。


一旦戦いは落ち着くのかと思いきや、王子の父である王が暗殺されてしまう。
もちろん皇太后の悪だくみなんだけど、嫌疑はカイル王子に。
王子は逃亡生活に入るわけだが、その時に必死にユーリを逃がす。
ここでザナンザ死亡、ラムセスが倒れてるユーリを拾ってエジプトへ。
これにもちゃんと意味があって、実はエジプトの皇太后ネフェルティティとヒッタイトの皇太后ナキアは通じていた。
ラムセスの婚約報告のふりしてネフェルティティの城に忍び込んで証拠ゲット!
ユーリここでも大暴れ。
証拠をもって王子のもとへ。
(ラムセスあっさりふられる)


この間にカイル王子の裁判でティトが身を挺してカイルを守るという燃えシーンが挟まる。
そこで明かされる、ティトも実は征服された民族の部族長の息子。
その民族はまだ普及していなかった製鉄の技術を持っている、「赤い河」=砂鉄の川を統べていた民族。
族長は監獄の中でまだ心は折れていない。
ティトはカイルに腕輪を託し、監獄に送られた王子の腕にティトの腕輪を発見した族長はカイルを問いただす。
そしてカイルへの協力を誓う。
そこからカイルの逆転劇!
じわじわと軍勢を集めていった。
その中にはかつてヒッタイトが征服したものも混ざっていた。


そして決戦前。
ずっと愛の告白をしては流されてきた王子がついに動く。
ハートを彫ったタブレット!
王子はユーリの背景にちゃんと敬意を示してるんだよね。
ちゃんと人として、パートナーとして、ユーリを尊重している。
きちんと向き合って、異世界を生きてきた少女の人生を受け入れたうえで愛している。
それを見てユーリは心を決める。
日本に帰れなくなるとしても王子と共に生きていく、と。

このシーンの萌えは本当に深い。
もうね、このハートの彫られたタブレットは商品化しちゃえばよかったのよ。
クッキーにして土産物ににしたらさそ稼げただろうにもったいない。

そして最終決戦。
ネフェルティティもナキアも敗れ、国は若い三人の王子(ヒッタイトのカイル、エジプトのラムセス、ミタンニの黒太子)が動かしていく。
ラストシーンでやっと王子はユーリにプロポーズ!
ひざまずいたポーズの美しさよ。
真正面から愛を叫ぶプロポーズ。
大団円。
ああ美しい。



この作品のすばらしさは悪役サイドにもちゃんと物語があるところ。
まずヒッタイトの皇太后ナキア。
若いころから宮殿の神官と心を通わせていたものの、彼は宦官。
滅亡した国の王族であった彼は子孫を残せぬようにされて神官になっていた。
ナキアは駆け落ちをあきらめ、この宮殿で修羅の道を生きることを決める。
生まれた王子は神官の血を引いたかのような金髪。
実際には宦官の子は有り得ないので、王の子なんだけれど…ナキアの執念だ。
そして王の暗殺、ナキアの子を王位につける計画を実行するも失敗。
ここでカイル王子が出した結論は、ナキアを追放するものの、同じエリアにナキアの息子と神官を送り込むこと。


ネフェルティティは弟の黒太子「マッティワザ」を心から愛していた。
この時代の結婚の形を考えた時、この「愛」はたぶん家族愛じゃない。
男女としての想いもきっと含まれていたんじゃないだろうか。
けれど、ミタンニは小国。
国のため、彼女は嫁いでいく。
黒太子にイヤリングを残して。
そのイヤリングはユーリの手によってネフェルティティのもとに戻る。
その時彼女は何を思ったのだろう。
すごく複雑な表情で、一言で言えるものじゃない。
きっと正解もない。
ただ言えることは、生きるために自分の一番大事な気持ちを失う、という普遍的な哀しみ。
今の私たちにもつながる、哀しみ。
そのイヤリングの中のガラス玉はネフェルティティの像の目に使われる。
その像を作るのは、失脚したネフェルティティにまだ付き従う彫刻家トトメス。
露悪的にトトメスを追い出そうとするネフェルティティにもひるまないトトメス。
これは恋愛関係じゃないけど、きっとこれからの彼女の「一番大事な感情」になるものだと思う。
このトトメスを演じた松風輝君って子、今まで注目したことなかったけど、この子の芝居が素晴らしい。
複雑な感情を、正解のない想いを、ここまで演じてくれるとはね。
イケメン設定の役じゃない、ハッキリ言えば脇役で、こういう輝き方してくれる子がいると本当に心強い。


カイルやユーリのような、真っすぐに愛して結ばれるカップルも美しい。
萌える。
だけど、ネフェルティティとトトメスの失敗することでしか、失うことでしか見つけられなかった関係も、心に響いた。
ネフェルティティのさやと君も素晴らしかったからこその熱演。

この作品の中で、カイルもユーリも「一番大事な物」を必死に選んで守った。
それを「守れなかった」はずの黒太子もネフェルティティもナキアも、失敗したからこそずっとそばにあったものを見ることができた。
幸せの形が全員違って、でもそれぞれがラストできちんと幸せをつかんでいて、それを宙組全員で魅せてくれることが本当に素晴らしかった。
作中で死んでしまったキャラが見守るようなラストシーンでも、ちゃんと目線の使い方や表情で想いの違いが判る。
大人数での芝居が多かった宙組だからこそ、こういう台詞外での魅せ方を学んでいるのかもしれない。


器の大きな王子様と、王子と対等にやり合う跳ねっ返りお姫様と、魅力的なライバルと血の通った悪役。
全部そろった作品は本当何度見ても毎回新しい輝きがあって素晴らしい。
終わっちゃうのが本当に残念。

親心の要らない王子様@シトラスの風

初演から見ている最高のショー、シトラスの風!
なんて言っても最大の魅力は「明日へのエナジー」。
完コピで歌えるぐらい見まくってるもん。


だけど魅力はこれだけじゃない。
今回なんと他のショー(ネオダン)からチャイナ服のパラディソを輸入!
何その萌えしかない追加。
歌うのはキキちゃん。
なんというか、完全悪じゃない感じがまたイイ。
ミキさんやわたるさんとは違う魅力があるね。
ミキさんは本人も既にガッツリマフィアな感じ。
キキちゃんは「マフィアの家に生まれ、夜はマフィアの幹部候補として修業を積んでいるけど昼は普通の高校生」って感じ。
自分の昼の顔しか知らない高校のクラスメートに告白されて、心で泣いてる、みたいな。

キキちゃん、「芝居的に深い設定のある悪い人怖い人」はいいんだけど、こういう設定のないシーンだとまだ青い感じなのよね。
で、素晴らしいのはシチリアよ。
妻だか婚約者をまかぜ君にとられて決闘を申し込むキキちゃん。
その手袋を投げる一瞬の表情が素晴らしいの。
あの黒い表情ができるんなら、パラディソももっと黒くしちゃえばいいと思うんだけどな~。
これが今のキキちゃんなんだな。
ええ、大好きです。



前述のシチリア、軍服祭り。
長身の宙組で軍服祭り。
最高。

オープニングからのパステルカラーの連続も夢夢しくて好きよ。
宝塚来たぞ!ってなるよね。

すっしーさんがメインと言いたくなるような、Mr.ボージャンゴス。
言葉無しで、踊りというか体の動きだけで、踊る喜びと、体が衰えていく哀しみを表現する。
その横で、今まさに輝いているまかぜくんが歌って踊る。
明と暗。
対比なんだけど、単純な二項対立じゃない。
まかぜ君はMr.ボージャンゴスを敬愛している。
哀しみに同調しながらも、最期まで彼に踊ってほしいと願っている。
ファンというのは残酷で、そう願わずにはいられないもの。
ボージャンゴスも最後まで踊る。
よろけて、跳べなくて、それでも踊る。
酒に逃げながらも踊る。
最後、動きを止めてボージャンゴスは息を引き取る。
そこまでまかぜ君は見守っている。
ショーなんだけど芝居のような、演技として素晴らしいシーン。



そしていよいよ、明日へのエナジー。
希望、生命力、そういう人の持つ明るいもの良いものがぎっしりつまったシーン。
理屈抜きでカッコイイ振付。
歌う悦び、踊る悦び。
もう出ている全員がカッコイイ。
途中で黒い学ラン風衣装の前を開けて裾をバッサバッサして踊るシーンのカタルシス。
鮮やかな蛍光色の裏地が黒に映える。
白い衣装のゴスペル軍団。
ステージの後ろの方にいても、しっかり存在を主張している。
曇りのない声、迷いのない声。
1人ハイトーンで歌う娘役の声のみずみずしさ。
本当に、生きるエネルギーをもらえる名シーンだ。
しかも今回はトップ娘も参戦だ!
(これは初演以来初)
見終わるともういろいろ満たされちゃうけれど、次のシーンもいいから気が抜けない。


次はマギーが銀橋で1人しっとりと歌う。
麗しい。
美しいよりも麗しいって言葉がこの人には似合う。
本当なんでもできちゃう人なんだもの。
この人がいなくなるのは大きな損失だなあ。


フィナーレ。
まかぜ君の大きな羽、ナイアガラ。
ここにきてようやく親心発動!
そう、ここまで親心発動しないぐらい、一分の隙もないスターになってたんだね。
あらためて、おめでとう、まかぜ君。
君は最高の王子様だ。

無人くんのくせに@BADDY

カンパニーの併演のBADDY。
これはBAD由来の人名でたまきちの役名。
全体的に「ちょい悪」系の男が揃う、間違いないショー。
なのだが。
衣装のセンスよ…いや、ちゃぴだから何着ても可愛いんだけどさ。
すー様の頭に地球乗ってる件とか、すごいぞ。

さて、ショーなのに今回は世界観の開設が必要だ。
「悪いもの」を全部月に追い出し、戦争も事件もない平和な星となった地球。
首都が宝塚市だとか細かいボケにはもういちいち突っ込むまい。
前述のすー様は女王。
王様は婿養子。
…男女平等でよろしいことで。

王子は退屈し、月を見ているけれど、それが気に入らない女王。
平和な期間が長すぎて、王子はもはや「悪い」って言葉の意味すら知らないそうな。
帝王学も必要がないぐらいこの世界は平和ないでしょうか。
平和すぎて王子ご一行がエビやカキに化ける始末。
なんかリトルマーメイドもしくは浦島太郎的海の仲間がこのショーでは大活躍。
コンセプトどうなってんだ。
リゾートを勘違いした結果か?

この調子で、全編設定の詰めが甘い。
オタクとしてはこんなおいしい設定はないって設定なのに、どうも生かせてないんだよな~。
基本、「悪い」のは男役で娘役は良き地球人。
(突っ込むことをあきらめた

そんな地球の平和を守るのは、美少女警官グッディ!
ちゃぴが可愛い。
衣装が婦人警官っぽさゼロのパステルカラーのフレアスカートでも許す。
可愛いから。

芝居に引き続き、ロン毛のみやるり。
芝居ではそれでも兄貴キャラでそこに萌えでいたが、今回はオネエキャラ。
BADDYの恋人?的な存在。
しかしここでまたアンラッキーなめぐりあわせ。
芝居の方で「今の時代はBLバレエもありだブレイクスルー!」だったのに、「悪い」ものを知らないグッディはBLを見て「こんなの初めて見た」的対応。
BLハワルクナイデス。

月から襲来するBADDY。
登場シーンはくわえタバコ。
このタバコ、このショー全編で「悪い」もののシンボル扱い。
結構エグいこと(銀行強盗)や地味なガチ犯罪(パスポート偽造)をしているのにね。

とまあ世界観の悪口は止まらないが、とにかく萌えはあるんだ、このショー。
だって、としくんが、としくんがね(語彙喪失
としくんもBADDY一味で、追われる身。
腕を撃たれ流血しながら逃走中、1人の少女に出会う。
少女は自分のハンカチを腕に巻いてくれる。
そこで一瞬二人の目にきらめく何か。
少女漫画的トキメキの展開。
けれどこの恋は実らない。
最後に二人が視線を交わし、としくんがもらったハンカチを投げ捨てるのよ。
訣別のシーン。
いや~これで一本芝居が見たいです。


ポッキー(かなと君)もラストシーンでの漢ぶりや、懐かしのチェンジボックスにでも入りそうなルックスでも滲み出る可愛さがイイ。
王様ご一行も可愛いから好きよ。
謎のグッディーズもとりあえず可愛い。
設定がとにかく謎だけど。


とし君のラスト影ソロはもうね…うん。
新公の頃からとしくん大好きだったからなんかもうね。
というわけでショーになっても私はとしくんビュー。
群舞までガッツリあって最高だったわ。

ああでも群舞にいた無人くん的宇宙人よ…結構いいダンスするんだよ無人くんのくせにさ…
宇宙人の詳細はもう説明しない。
全編無人くんで出てた可哀想な若手がいるんだよ、とだけ。
名前は各自調べてあげて、ゆうま君のために。
せめて名前覚えてもらえなきゃ彼が可哀想すぎる。
顔は今回覚えてもらえないんだから。
何が可哀想ってね、彼はプログラムでも無人くんなんだよ!
前代未聞。
なんだかんだで彼に全て持ってかれた感があるので記事タイトル。

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プロフィール

朽葉

Author:朽葉
このページの管理者、朽葉。
とにかく生のステージが好き。
お笑いメインに、芝居、宝塚と西へ東へ。

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