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2019-09

肯定と許容の食卓@ハードコア弁当

ホイップ坊やさんがインスタグラムで脚光を浴びて、ついに書籍化したこの本。
ブロガーである私としては結構希望の星。
まぁそんな個人的なアレはおいといて。

ハードコア弁当というのは「ごはん一合の上におかず一品」スタイルの弁当のこと。
毎日ホイップ坊やさんが食べている弁当はコレらしい。
スーパーで(ほとんどは値引きされている)買ってきた総菜や加工食品をご飯にのせるだけ。
自炊かそうじゃないかの境界線上。
白と茶色のツートンカラー。
栄養とか彩を度外視した、弁当。

インスタではこのビジュアルがウケた。
紙媒体になると、光るのは言葉のセンス。

ハムはぺろっと。
ベーコンはベロン。
そして、ちくわはズズンと。

これは実際に本の中で使われた言葉だ。
擬態語のオリジナリティがすごい。
読み進めると、確かにハムはぺろっとでないといけないし、ベーコンはベロンでないといけないという気になってくる。

弁当の本だけれど、これはレシピ本ではない。
ホイップ坊やさんはグルマンではないし、味付けは醤油一辺倒、まれにマヨネーズと中濃ソース。
タレの焼き鳥のページで「タレが足りなければ醤油を足す」と書いている体たらく。
最近和食業界がプッシュしている「第五の味覚、旨味」なんざ分かっていない。
分かるのは塩味だけ。
調理はしていないし、そもそも家にフライパンや鍋があるのかが疑わしい。
インスタ映え以前に、盛り付けなんて1ミリも意識していない。

でも、この本を読み進めるとお腹がすく。
ハムが、ベーコンが、ちくわが、食べたくなる。
フライ物の羅列の茶色いページ、てんぷらの羅列の黄色いページ、見た目は代わり映えしない。
だけど、ワクワクする。
彼の言葉にはそういう力がある。
その力の源は擬態語の巧みさだ。
芸人らしい「面白い事を言っている」ページももちろん面白い。
1回目はその面白さしか気づけないぐらいに。
2回目に読み返すと、さりげなく仕込まれた擬態語の面白さ細やかさに気付く。
3回目にはもう虜になっている。

味付けは醤油一辺倒、味が分かっているのかどうか甚だ怪しい男。
そんな男がコロッケとクリームコロッケとカレーコロッケと牛肉コロッケのたたずまいを表す擬態語を使い分けている。
この不可思議を是非とも体感してほしい。

4回目に読むときには出版社の人の苦労に思いを馳せてほしいと思う。
この白黄色茶色しか出てこない本にもちゃんとデザイナーとカメラマンがいる。
おかずの形状に合わせてなんと3種のタッパーが使い分けられている。
作者に「余白であるご飯がバランスよく映るように」なんて発想があるとは到底思えないので、この写真のギリギリのバランスを保っているのはカメラマンの苦労の結果であろう。

ここにきて、私の個人的な恨み妬み嫉みやっかみを1つ。
この塩分糖質脂質しかない、ダイエットを真っ向から否定する弁当を毎日食べているホイップ坊やさん。
ハードコア弁当のごはんは一合丸ごとだ。
それなのに。
本当に理不尽で許しがたい事に。
ホイップ坊やさんは全く太っていない。
この数年見てきて、太る気配がみじんもない。
私が寄る年波に勝てずどんどんまるまるしていく中、見事な体型キープぶりだ。
それがあるから、本当はこの本が売れるのは悔しいのでレビューしないつもりでいた。
じゃあなぜ今更レビューをするのか。

2巻が読みたいという欲望が抑えられなくなったからだ。
この本が重版を重ねるぐらい売れないと、続編は出せまい。
さらに売れっ子作家になれば、差し入れも豪華にハイカロリーになり、さすがのホイップ坊やさんも太るであろう。
それを見て留飲を下げたい。


ちょっと最後に真面目になると、この本は全編「肯定」であふれている。
ベーコンの焼き加減が適当でも、ウインナに切れ目を入れなくても、焼き鳥は串ごとでもいい。
「こうしないといけない」「こうしないとおいしくない」、そんな否定は1つもない。
醤油へのこだわりはすごいのだが、「ソースでもいい」「タルタルソースを足してもいい」と、柔軟性は残しているのがこの本の味噌だ。
そういえば味噌味のハードコア弁当もあった。

食事は毎日のことだ。
だからこそ、安全や栄養や彩でがんじがらめになりやすい。
そんな時この本をパラパラめくると、程よく肩の力が抜ける事だろう。
コロッケ4種の佇まいを表す擬態語を使い分けられるようになるほどの揚げ物オンパレードはよくないが、たまには肩の力を抜いてもいい。

この本にそんなメッセージ性がないからこそ、きっとこのメッセージが強く伝わってくるような気がすることだろう。
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ライブのお知らせ

一度ぐらい体を張ってみよう。
きっかけはそんな「思いつき」だった。
ブログカテゴリの「エッセイ」で連載している「K」と「私」の物語。
その下敷きになっているのは私が芸人の世界で生きた束の間の日々。

中野シェイプレスはそれまで1、2回しか行ったことのないライブハウスだった。
私を知っている芸人さんの多いライブだと甘えてしまうから。
芸人さんしか使わない「用語」がわからなくても、許されてしまうから。
「ブロガーが芸人ごっこをしている」事を面白がられている環境では、「体を張っている」とは言えない。
だから私は見知った顔が温かく迎えてくれる下北を飛び出して、新井薬師の中野シェイプレスに飛び込んだ。
私も彼らを知らないし、彼らも私を知らない、そういう場所に。

それまでの私は友達もほとんどいない。
LINEに登録されている人数はリアルに一桁。
職場の飲み会からすら全力で逃げていたから、あんなにたくさんの人と関わったのはいつぶりだろう。

私の想定を遥かに超える温かさで私は新井薬師に迎え入れられた。
ライブに出る。
お手伝いスタッフとして受付を担当する。
最終的にはR-1に出たことを区切りに芸人体験は終わりにしたけれど。
その後もちょくちょくお手伝いスタッフはしてきたし、バレンタインにはカルディのでっかい袋を抱えてライブに向かった。
私のHNを、「朽葉」という名前を、呼び捨てにしたり「ちゃん」付けする人なんてここにしかいない。

芸人さんは特に親しかったり、特にお世話になった先輩に敬意をこめて「姉さん」「兄さん」と呼びかける。
私は自分のHNに「朽葉姐さん」なんて言って、「姐さん」の文字を入れている。
だけど、ここには私が「姉さん」「兄さん」と呼びたい人がたくさんいる。

まず、今回ライブをさせてくれるシェイプレスのオーナー。
MCをしてくれる、モロヘイヤ太郎さん。
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特にモロヘイヤ三上さんは芸人体験の頃からお世話になり続けた「兄さん」だ。
年は私の方が1つ上だけど、私がブログを始めたのは21の時で、三上さんが芸人さんになったのは19の時だそうだから。
芸歴では私が1つ下ってことになる。

今回、朽葉としての10周年を控えていることもあって、私の節目、私の恩返しとしてもいろいろ考えている。
「朽葉」としてではない本名の私の周りの人間にも初めて告知をした。
だから、お客さんは「人生初のお笑いライブ」という人も少なくないだろう。

くちぺでぃあのスタート時のコンセプト。
「人生初のお笑いライブに誘われた人が予習に使えて、安心してライブ初体験してもらえるためのサイトにしよう」
そのくちぺでぃあからの派生ライブだから。

出演者は全員くちぺでぃあ掲載者。
私が何度も見た、自信をもってお勧めできる芸人さんたち。
その中でも「人生初の人にもわかりやすい」芸風の人をチョイスした。
だから宝塚の記事や漫画の記事を読みに来ている読者さんにも是非これを期にお笑いを見てほしいと思う。

ライブ名については、せっかくだから私の名前を入れさせてもらおうと思ってこうなった。
私の「朽葉」は必ず「Kutiba」で「Kuchiba」ではない。
これは私のささやかなこだわり。
そして「Kutiba's Chess」のchessは、勿論ゲームのchessからとっている。
モノクロでカッコいいチラシを作ることができそうなコンセプトで、私の他の趣味とつなげる事ができるタイトルを探していたから。
チェスは安蘭けい(とうこちゃん)の演じた芝居の名前でもある。

ライブはネタはまずネタとして堪能してもらう。
ネタはまず「採点」なし。
その後、企画として「漫才チーム(漫談、歌ネタ含む)」のTeam:Blackと「コントチーム(フリップ含む)」のTeam:Whiteに別れて即興ショートコント対決。
この構成にしたのは、「初めて」の人には多くのジャンルのネタを見てほしいから。
漫才とコントの比率を半々にして、フリップや歌ネタも交える事で、絶対1組は「お気に入り」を見つけて帰ることできるライブにしたいと思う。



最後に。
お笑いがなければ私はきっと今もできるだけ人と関わらない生活を目指していたと思う。
笑う事のパワーはとても大きい。
そして、目標にまっすぐな人を目の当たりにする事は自分を変えるきっかけになる。
自分が何が好きかわからなくなったら、一度お笑いライブに足を運んでみてほしい。
「売れたい」
「モテたい」
「お金持ちになりたい」
「たくさんの人に見てほしい」
一部不純に見えるものも混じっているけれど、芸人さんたちは目標にも欲望にもまっすぐだ。
たくさん笑って、帰り道、もう一度自分を見つめなおそう。
きっと一番最初に浮かぶのは好きで好きで仕方ないものになっているはずだから。




ライブ情報
タイトル「Kutiba's Chess」
日時:2017/4/25(火)  18:45開場、19:00開演
会場:中野シェイプレス
0312.jpg


新井薬師近辺で、差し入れ購入などのオススメスポットが知りたい方も朽葉まで。

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プロフィール

朽葉

Author:朽葉
このページの管理者、朽葉。
とにかく生のステージが好き。
お笑いメインに、芝居、宝塚と西へ東へ。

朽葉姐さんとコンタクトを取りたい方はツイッターID「renrenren12」へ。
http://kutibakareha.blog117.fc2.com/blog-entry-479.htmlのみ、BBS目的にコメント欄公開中。

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